遺言書について

遺言書でできること、できないこと

遺言書とは

遺言(遺言書)とは、生前に、被相続人が自身の遺産を誰にどのくらい分けるのかについて、自ら記した書類のことです。
遺言書を作成しておくと、法定相続分とは異なる割合で遺産を分割することや、特定の相続人や法定相続人以外の人に遺産を譲渡することが可能となります。

遺言書で出来ることは、遺産分割方法の指定だけではありません。子どもを認知することや、非行のあった法定相続人を相続手続に参加させないための手続きである廃除などができます。

遺言書があると相続がスムーズに進みますまた、1度作成した遺言を撤回することも可能です。遺言を撤回する場合は、新たに別の遺言書を作成すれば足ります。複数の遺言書が存在する場合、日付の新しい遺言書の内容が有効になるからです。

遺言書がある場合

相続が発生したら、はじめに遺言書の有無を必ず確認してください。遺言書があれば、その内容が最優先とされます。すでに遺産の分割協議が進んでいたとしても、後から遺言書があることが判明した場合、手続きを最初からやり直す必要がでてくる場合もあります。

ただし、遺言書によっては、法律で定められている内容と異なり、どうしても遺言書の内容を尊重できない場合もあります。
即ち、あまりにも不平等な内容の遺言書だった場合、法律では一定の相続人に対して相続財産の一定割合を請求できるよう確保しています。これを遺留分といいます。
遺留分がある相続人は、自己の遺留分が侵害された場合、遺留分減殺請求権という権利を使って遺産を取得する方法があります。

遺言書がない場合

遺言書がない場合には法定相続分に従って遺産を分割することになります。この場合は遺産分割協議という話し合いによって遺産を分配することになります。

遺言書の種類

普通遺言書

自筆証書遺言
誰の手も借りずに自ら一人で作成するので、費用もかからず、内容を誰にも知られることはありません。しかし、専門家が目を通さないため、内容に不備があった場合、遺言として認められない場合もあります。 また、管理が不十分なので、容易に偽造されたり、無くしたりしてしまうケースもあります。 相続の際は相続人により、家庭裁判所で検認を受ける手続が必要となります。
公正証書遺言
遺言者による遺言内容を公証役場の公証人が聞き取り作成、公正証書にします。偽造されたり、内容不備で無効になる心配もなくなり、相続の際のトラブルを回避できます。家庭裁判所の検認手続きも必要がなくなるので、相続人による手間も省けます。原本は公証人役場で保管され、紛失の心配もなくなります。 この場合、公証人役場の手数料がかかり、作成の際に証人2名が必要になります。
秘密証書遺言
公正証書遺言と同様、公証役場で作成しますが、遺言の内容を一切秘密に作成できるのが秘密証書遺言です。遺言書作成後、秘密証書遺言であることを公証人と証人に証明してもらう必要がありますが、遺言の内容は公証人に知られることなく、密封されます。しかし、自筆証書遺言と同様、専門家が目を通さないため、内容不備の場合、無効になってしまう心配もあります。

特別遺言書

一般危急時遺言
遺言者が疾病や負傷で危篤状態になるなど、突然の事態により緊急に作成される遺言のことです。危急時遺言は証人が3人以上必要となります。家庭裁判所で確認手続きを20日以内にしなければなりません。
難船危急時遺言
船舶の遭難で死亡の危急時となった場合に作成するものです。一般危急時よりも事態が深刻であり、家庭裁判所で確認手続を直ちに行う必要があります。2名以上の承認が必要となります。
一般隔絶地遺言
行政処分により強制的に交通を絶たれた場所にいるようなケースの遺言です。たとえば、伝染病などにかかっている人や刑務所の服役人などがこれに当てはまります。公正証書遺言や秘密証書遺言はできなくなるため、簡易に行える自筆証書遺言が認められています。警察官と証人それぞれ1名の立ち会いで行われます。
船舶隔絶地遺言
船舶内でできる遺言です。海洋を航行する船舶に限られ、飛行機の場合は認められません。一般隔絶地遺言と同じようにシンプルになっています。これらの遺言はあまり利用されていません。

遺言書の検認手続き

遺言書がある場合、まず検認手続きを行いましょう。検認手続きは、後に遺言書が偽造・変造された場合にその事実が証明できるように、遺言書を保全するための家庭裁判所による手続きです。
遺言書は、家庭裁判所にある遺言書検認申立書相続人等目録を添付して提出します。
ちなみに公正証書遺言に検認は必要ありません。公証人が作成するため、また公証人役場に原本が保存されていて、偽造や変造の心配もないためです。

相続問題はとてもトラブルにつながりやすく、事前の対策、準備が必要になります。
紛争防止のためには専門家が必要です。

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